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トスカーナの郷土料理

2009.06.26 (Fri)

グリッシーニ・チャバッタ・フォカッチャ・ロゼッタ・・・
イタリアには町の数だけパンの種類があると言われています。
中でも忘れてはいけないのが、トスカーナ州の田舎パン。
イタリアへ旅行などに行かれた方は口にしたこともあるかもしれませんが、このパン、
味も素気もありません。
なぜなら、パン生地の中には砂糖や塩が入っておらず、小麦粉・水・イースト菌・オリーブオイルとなんともシンプルな材料のみで作られているからです。
おそらく初めて口にした方は、素朴すぎてあまり美味しいモノとは思わなかったはず…。
しかし、シンプルがゆえに、いったんクセになるとやみつきになるのではないでしょうか。
まさに僕もその一人です。

イタリアでは95%の人がカトリック教。
カトリックでは、ワインはキリストの血、パンはキリストの肉体と言われているため、これらを捨てることはありません。
どんなに古くなってもそれを新たに料理してしまうという知恵があるんです。

今回紹介する料理がそのひとつ。
トスカーナに古くから伝わる郷土料理 『panzanella』(パンツァネッラ)。

パンツァネッラ

時間がたって硬くなったトスカーナパンを水でもどし、トマト・キュウリ・紫タマネギと一緒に
赤ワインビネガーとオリーブオイルなどで味付けしたという、これまたシンプルなサラダです。
トスカーナでは夏によく食べられます。

硬いパンを水で戻すと、日本の『麩』のような感じになり、トマトの爽やかさ、キュウリの食感、紫タマネギの甘みと非常によく合うのです。

紫タマネギ(イタリアでは赤タマネギと呼ぶ)は、トスカーナ料理で頻繁に使われます。
なぜ普通の白いタマネギではなく紫タマネギなのか?これを地元の人に聞くと答えは簡単。
「昔はこれしかなかったから」。
なんですって。
確かに白より紫の方が辛味が少なく、生で食べると甘みが強いので、この料理に適していると思います。

ちなみに、このパンツァネッラ。僕の知る限り、イタリアで唯一キュウリを使う料理なんです。
ズッキーニやカボチャはよくありますが、キュウリとなるとほとんど見かけません。
このこともトスカーナの人に聞くと、
「昔からこのレシピだから。」
と、これまた半分開き直りに近い答えが返ってきます(笑)
深く考えず、『昔ながら』を大事にする。
これがイタリアの伝統なんですね。

母から子へと代々受け継がれる郷土料理。
こんな料理が今も変わらず息づいていることに、あらためてイタリアの奥深さを感じます。

当店でもこの伝統を大切に考え、日本の皆様に少しでもイタリアの郷土料理を伝えていければと考えています。

よく冷えた『パンツァネッラ』と、トスカーナの白ワイン、夏場の暑い時期にいかがですか?
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